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Fagott Firststep

タンギングのキャラクター

 今回のテーマはタンギングです。タンギングは「発音」と意訳されますが、ドイツ語では”sprechen(話す)”という単語を用います。演劇の台詞にも「ささやく」や「叫ぶ」という風に種類がある様に、タンギングにも色々なキャラクターがある事を理解すると、音楽の幅が大いに拡がってくると思います。

譜例11
ファゴット・ファーストステップ3 タンギングのキャラクター1

 譜例11はタンギングの基本について端的に表しています。①から②の様に音と音を区切る時は、リードに舌を触れて実現します。「トゥ」とか「ドゥ」または「ド」という時の舌の動きのイメージを持つと良いでしょう。①は音の出し始めですが、②や③と同じ様にタンギングを用いて発声する事が基本です。音の「出し方」が分からないという場合は、まずは「③と同じ感じで」と考えると良いでしょう。

譜例12
ファゴット・ファーストステップ3 タンギングのキャラクター2

 タンギングを大雑把にHard(硬い、強い)、Medium(普通、中庸)、Soft(柔らかい、弱い)の3つに分けて、そのキャラクターについて考えます。譜例12は><(ディミヌエンド・クレッシェンド)のみ指示のある4つの二分音符です。実際に吹いてみる際、音量の差をつける必要はありませんし、逆に差がついてしまっても構いません。「タンギングで><を実現」する様に意識する事が大切で、この様に練習してみると、タンギングにキャラクターがある事を容易に理解する事が出来ます。④に相対して⑤に「柔らかい」とか「優しい」といった「イメージ」を持つことも非常に大切です。具体的にはリード内の気圧と口腔内の気圧の差がないほど発音は柔らかくなります。④が「トゥ」だとすると、⑤は優しく「スゥ」と言う感じです。尚、⑤の時に息が入りすぎて柔らかくならないという場合は、リードの一番ワイヤーを寝かせてみると良いでしょう。

譜例13
ファゴット・ファーストステップ3 タンギングのキャラクター3

 譜例13は譜例12の逆のパターンです。<>の捉え方についても同様です。この場合も⑥に相対して⑦に「強い」、「鋭い」といったイメージを持って練習する事が大切です。リード内の気圧と口腔内の気圧の差があるほど強い発音になります。⑥が「トゥ」だとすると、⑦は「タッ!」と言う感じです。尚、⑦で強く息を入れることが出来ない場合は、リードの一番ワイヤーを立ててみると良いでしょう。

譜例14
ファゴット・ファーストステップ3 タンギングのキャラクター4

 以上の事をふまえて、譜例14を演奏してみましょう。繰り返しリピートしながら「タンギングのキャラクター」を意識して演奏します。息の圧力やスピードの強弱も併用して試してみましょう。この練習は、リードを試奏なさる際に、そのリードの強さがご自身に合っているかを見極める上でも役に立ちます。

譜例15
ファゴット・ファーストステップ3 タンギングのキャラクター

 譜例15はブラームスのピアノ協奏曲第一番の第1楽章、導入部よりファゴットパートを抜粋した物です。あまり知られていない曲ですが、全体的にオーケストレーションが非常に重厚で力強く、若々しい苦悩や憧れが痛いほど伝わってくる名曲ですので、まだご存じでない方は一度お聴きになられたら良いかと存じます。力強い導入部をピアノソロへと受け継ぐ印象的なこのファゴットソリは、後日また詳しく取り上げてみたいと思います。

 さて、譜例15の記号はそれぞれタンギングの種類(H=Hard、M=Medium、S=Soft)の使い分けの一例を表しています。是非実際に演奏して、タンギングによってどの様に音楽が変わるのか体験なさってみて下さい。

 モーツァルトのファゴット協奏曲で例えると、一楽章は「元気よく」、二楽章は「柔らかく」始めますが、その印象はタンギングのキャラクターによって大きく変わります。何かを「喋る」ように、また「訴える」ように、もしくは「ささやく」ように演奏する事で、音楽表現の幅は劇的に拡がっていきます。

Fagott Firststep - Index

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