材料や組み方、また使用するシェーパー(工具の1つ、所謂「し型」)などによって、リードの性格は大きく違ってきます。性格の相違は、その目的へのアプローチの角度の違いです。即ち良い音に対する好みの違い、また求める音楽に対する好みの違いです。奏者の数だけリードのセオリーがあると言われる由縁はここにあります。しかしそれは、むしろリード調整の最終段階においてこそ顕著であり、そこまでの過程にある一定の規則性に注目する事がバランスの良いリードを知る手がかりとなり、また削り出しにおけるリスクをある程度回避する事が出来ます。
例えば先端サイド部の厚さが2mmもあるリードを良いと感じる事はまずありません。大抵の場合、良いリードは一定の厚みのバランスが保たれています。この様な観点から、基本的なリードの厚みはおおよそ図1の様になります。
各数値は一定の目安にとどまっており、材質やシェーパーなど様々な要因によって、また好みによっても常に異なる事に注意して下さい。また、同じ感覚で吹けるリードが複数ある場合、それらを比較測定するとほぼ同じ数値が出る事も注目すべき点としてあげられます。
ある奏者が良いと感じるリードが、他の奏者には「軽い」と感じられたり、また逆に「重い」と感じられる事があるのは自然ですが、単に「軽い」と感じるのか、それとも「良いけど軽い」と感じるのかには大きな違いがあります。前者の場合はリードの完成度の程度を指しており、後者は完成度を認識した上での好みの違いによるものです。リードにおいては好みも大切ですがその完成度もまた同様なので、プッペの削り出しを過不足なく適切に行い、将来に多くの可能性を残しておく事が重要です。リードを作成する課程で何度試してもなかなか思い通りにいかない場合は、好みを意識するあまりバランスを損なってリードの完成度が落ちている可能性があります。この点で、適切に設定されている事を条件に、メイキングマシーンの利用は一定の効果があると言えるでしょう。